2013年に日本食は”和食”として、ユネスコ無形文化遺産に登録されました!旬の食材を使った多様な食材、栄養バランスに富んだ食生活などが特徴で、高く評価されています。私たちの研究室では、日本食で使われる食材の風味の生成について化学的に調べています。

 

①ショウガやサンショウの”さわやか”香気成分生成メカニズム

 ショウガやサンショウは、魚や肉の臭みをマスキングする”さわやか”な香気が特徴です。特に、日本食では、香辛野菜として”薬味”として使用される人気の高い食材です。特に、サンショウは、縄文時代から食事に使われ、日本オリジナルの香辛野菜といってもよいでしょう。どちらも、そのさわやかな香気は、モノテルペンと呼ばれる揮発性成分によるものです。このような香気成分の生合成に関与する酵素遺伝子のクローニングや酵素的特徴を調べています。 

②トマトのおいしさと香気組成の関係

 トマトは世界中で好まれる野菜の一つです。生野菜として食べたり、煮込んだり、トマトソースやケチャップに加工したり、とその食べ方も様々です。また、今では非常にたくさんの品種がスーパーで入手することができます。私たちの研究室では、特に香りに着目し、”おいしいトマト”とはどういう香気プロフィールなのか、加工中に香気成分はどのように変わっていくのか・・など、おいしさに及ぼす”香り”の影響について、メタボロミクスという網羅的分析方法を用いて調べています。

③野菜の好き嫌いと“におい”の関係

 野菜の好き嫌いの原因として、苦い味や食感、そしてにおいがあります。私たちは、特に日本で多用されるにおいの独特なゴボウ・春菊などのきく科野菜に着目し特徴キー化合物の特定、香気特性と好き嫌いとの関係について調べています。

④伝統調味料の香気組成と官能との関係

 和食に使われる発酵調味料の香気プロファイルと官能評価の関係についてメタボロミクス技術を使って解析しています。”和食の美味しさ”を科学的に捉えようとしています。

④香気成分が他の野菜や果物の鮮度に与える影響

 植物が発する揮発性成分は、移動することができない植物にとって”ケミカルコミュニケーション”として利用されていると言われ、植物生態において重要であるといわれています。すなわち、ある植物が発する揮発性成分を他の植物が関知し、生体防御機構が働いたり、天敵となる昆虫を寄せ付けなくしたり、受粉を促す昆虫を誘因したりします。私たちは、揮発性成分暴露がスプラウトや野菜の鮮度に及ぼす影響などを調べています。